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ホテル旅館の基幹管理システム、通称”PMS”開発
開発に当たって…
ホテル旅館の労働生産性について他業種に比べ非常に低いと指摘されている。
いわゆる”おもてなし”に代表されるように欧米などと比較しサービスに対する対価が明確に存在しない事など、様々な要因が考えられるが、日本らしいサービスのあり方を見直すのではなくバックオフィスの業務効率を改善する事で生産性を向上させたい。昨今、金融業界におけるATM共有化のようにシステムなどを共有化する事で”業態”としてコスト削減、生産性を向上させ、同時に顧客も同一の利用方法が広がる事で利便性が向上する。PMSの開発を通してサービス・商品力は今以上に切磋琢磨しながらもホテル旅館業態として時流に有ったシステムの共有・標準化を推進し生産性の向上と旅館のバックオフィス業務そのものを標準化する事を実現したい。
― ホテル旅館のシステム環境おける是正ポイント ―
1.システムが高額
事業規模にもよるが、相応にシステム導入費用、ランニング費用等が掛かる。
OSの変更の都度費用が掛かり利用を諦めるケースや、そのままリスクを抱えながら保守期間を過ぎた状態で使用されることもある。
事業規模などによっては未だに宿泊台帳や更新もままならないシステムの利用を強いられている旅館が存在するが業界で、PMSを共有・標準化する事で安価な料金体系が実現でき
また、クラウドのシステム使用料は最低限必要となるが、システムの更新などは必要なくOS変更の都度莫大な費用が掛からなくなる。
つまり、参画企業でコストシェア頂き安価で時流に合わせていた改修が可能となり、永続的にその恩恵を享受いただく事が可能となる。
2.他システムとの連携汎用性が低い
ホテル旅館の基幹システムであるPMS(販売管理システム)と会計システム、受発注システム、勤怠管理システムなどが連携できていない事が非常に多く、システム間で繋ぎとして人間による転記作業が発生する。そもそも各システムに蓄積される情報ソースを相互利用できずにいるケースが散見される。
他システムとの連携を柔軟にする事で事業規模やターゲットとなる客種、単価、地域性などから、その施設に適した仕様にシステムを組む事が可能となる。
システム投資費用対効果の向上とシステム間の相性などを気にする事なく最良の選択が可能となる。
また、日進月歩のIT業界、常にトレンドが変わる旅館業界の中で新たに連携が必要となるシステムについても、基幹となるPMS自体のインターフェースを柔軟に構築する事で個々に時流に合わせた変化が可能となる。
3.バックオフィス業務の属人化是正
生産性を向上させる過程で所謂”作業”を無くすことに着目するとシステムとシステムを繋ぐ場面に必ずと言って良いほど、その作業に特化した人材がおり属人化の温床になりやすく生産性向上の障壁になっている事が多い。また、1室あたりの収益を最大化する販売戦略イールドマネージメントに対する取組みについても、ほとんどの施設で担当者のさじ加減になっており、過去の販売データや需要動向を細かく見ながら販売単価や提供客室を管理できていない。
PMSを起点に様々なシステムとの連携が出来ると、転記・入力作業を無くす事が可能となる。コロナ禍で非対面業務の推進も課題となっているが、電子上でシステム間の連携を可能にする事でサービス部門には限界があるものの、バックオフィス部門における非対面業務推進が可能となる。また、PMSを共有する事で旅館業界として関連業務の標準化が実現し就労される方々の雇用機会の増大、経営者としては売上がシーズナリティに左右される場面で、オンオフが違う地域間での人材の共有などを通して雇用を維持しながらも人件費削減が可能となる。更にはプラットフォームを統一する事で、販売管理業務そのものをホテル旅館事業者が寄り集まって共同運営する事で大幅な固定費の削減も望める。また、イールドマネージメントについても直近の需要と予測を地域・施設数の状況を幅広く取得する事が可能となり、”地域”として収益の最大化に取り組む事が可能となる。
4.経営指標等の早期化
ホテル旅館の生産性向上と同様に課題として上げられるのが”どんぶり経営”からの脱却で試算表の早期化は勿論、日毎に収支がある程度把握できる環境の整備が今後のホテル旅館経営では必須と考えている。
5.観光立国として、日本経済を担う産業としてのステイタス向上
宿泊客種情報の定期的な共有による地域内での背策や、有事の際の外部開示など国との連携が必要な場面で、早期且つ適切な背策の打ち出しが一部の情報ではなくより多くの正確な情報から可能となる。また一定の会計基準に基づく試算表などの財務データを活用する事で、経営の舵取り及び借入などの融資を円滑に進める事が可能となる。加えて将来的にはホテル旅館業界でスキッパー(無銭宿泊者)などの情報を共有するなどシステムを共有するメリットを最大限に活用する事が可能となる。